婚約者が妹と結婚したいと言ってきたので、私は身を引こうと決めました

6.財政悪化

そしてまた町に戻ると、畑が枯れていた。

大地はひび割れ、かつて緑が広がっていた村には、もはや息づく命の気配すらない。

私がいない間に、土の汚染はますます進み、作物が育たなくなったという。

そして……餓死者が出たと、聞かされた。


「わたしの……せいで……」

膝が崩れ、地面に手をついた。目の前の現実が、重すぎて息もできない。

「違う。アーリンのせいじゃない。」

そっと肩に触れるグレイブの温もりに、涙が溢れた。けれど、分かってる。

私が牢に囚われていたあいだに、どれほど多くの人が苦しんだのか。


なぜ私は、あんな場所に閉じ込められなければならなかったの?

なぜクリフは、そしてミーシャは、私の力を踏みにじったの?

「……悔しい……!」

こぼれる涙を止められない。苦しむ人々の姿が脳裏に焼きついて離れない。

私はただ、誰かのために力を使いたかっただけなのに――。

グレイブの腕に縋りながら、私はこの涙を誓いに変えると決めた。

この大地を、必ず癒す。すべてを取り戻す。私自身の手で。
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