家族に支度金目当てで売られた令嬢ですが、成り上がり伯爵に溺愛されました

第6部 公爵家の没落、援助の申し出

妹の婚約破棄の件があって、私とセドリックは実家、エルバリー公爵家を訪ねることにした。

「おお! 我が息子、グレイバーン伯爵!」

お父様は、まるで実の息子のようにセドリックを両腕で迎え入れた。

かつてのあの厳格な態度とは思えぬほど、打ち解けた様子だった。

「今回の婚約破棄の件……」

セドリックが切り出すと、

「いいんだ。あのバカ娘が自分でまいた種だ。」

お父様は大きくため息をつき、重々しく椅子に腰を下ろした。

あとから聞いた話だが、ルシアが彼に迫った件については、いっさい書いていなかったらしい。

「私は娘の不始末で、家の名を汚した。それなのに、君は黙っていてくれたんだな。」

「エルバリー家には、今も感謝しています。」
< 151 / 300 >

この作品をシェア

pagetop