あなたの子ですが、内緒で育てます

21 牢屋にぶちこんでやるわ! ※デルフィーナ

「ルチアノ!」

 セレーネが慌ててやってきた。
 動揺した顔が、わたくしに七年前を思い出させ、つい笑ってしまった。

「何事だ」

 ザカリア様までいたのは、計算外だったけれど、ちょうどよかった。
 ここで、ロゼッテの力を使い、向こうの評判を落としてやるつもりだった。

「セレーネ! ルチアノがロゼッテを馬鹿にしたのよ。子供に、どんな教育をしているの!」
「ぼく、馬鹿になんてしていません」

 銀髪に青い目をしたルチアノは、セレーネにそっくりだった。
 なおさら、気に入らない。

「嘘つき~! ロゼッテのことぉ~、わがままな王女だって思ってるぅ」
「それは思ってるよ」

 生意気な王子、ルチアノは、あっさり認める。
 ロゼッテはポカンとした顔をした。
 想定外の反応に、わたくしも反応が遅れてしまった。
 
「ほ、ほーら、ごらんなさいっ! セレーネに似ているだけあって、人を馬鹿にするのが得意なようねっ!」

 ルチアノは大人のような顔をし、ふうっとため息をついた。

「ロゼッテはわがままだよ。先生が教えている間は、静かに話を聞く時間で、お茶やケーキを食べる時間じゃない」
「正論だな」
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