あなたの子ですが、内緒で育てます

22 私が育てますので、ご遠慮ください

 ――最近、元夫から、贈り物が届く。

 いったい、どういうつもり?

「国王陛下から花が届きました」
「食べられそうなら、ジャムにして、町の人々に配りましょう」

 今日は花のようで、部屋にどんどん運ばれる。

「国王陛下が見立てたドレスでございます」
「どこのお店かしら? 返品できるなら、返品して。できないなら、売っていただける?」

 お金があるなら、他に回してほしい。
 無駄遣いしている場合ではないと、ルドヴィク様も、そろそろわかっているはずなのに……
 
「お母様。ぼく、早く王さまになれるよう頑張るよ」

 ルチアノは呆れた様子で、贈り物を眺めていた。
 ある意味、ルチアノにとって、反面教師として、学びに繋がっているかもしれない。

「あ、陛下が来るよ」

 ルチアノが力を使って、部屋へ近づく人間を前もって教えてくれる。
 
「追い返しますか?」

 ジュストは、ルドヴィク様を追い返すつもりらしく、扉の前に立ちふさがった。

「いいえ。いい機会だわ。贈り物攻撃を止めていただくようお願いしましょう。仕事の邪魔になりますから」
「そうですね」

 侍女たちは黙々と、大量の花を厨房へ運んでいく。(ジャムにするため)
 これだけでも、他の人間の仕事の邪魔になる。
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