あなたの子ですが、内緒で育てます

25 王宮の変化

「馬鹿馬鹿しい。せっかくのパーティーが台無しになる」

 重苦しい空気を破ったのは、ザカリア様だった。

「兄上。今はパーティーを楽しむべきでは?」
「あ、ああ……。そうだな。音楽を奏でよ!」

 デルフィーナは目論見が外れ、ザカリア様を睨んだ。

「デルフィーナ王妃。場を壊すような真似はもってのほか。王妃として、恥ずかしくない振る舞いをしていただきたい」
「わ、わ、わたくしが恥ずかしい女ですって!?」
「そう言っていませんが、ご自分が一番よくご存じのようだ」

 貴族たちか、笑い声がもれる。
 その声を耳にしたデルフィーナは赤面した。

「ロゼッテ! あなたのせいよ。セレーネの心をすぐ読まないからっ!」
「で、でも、お母様。セレーネ様は、わたしを殺すなんて、そんな怖いこと、思ってなかったから……」

 デルフィーナの冷たい目に、ロゼッテが表情を強張らせた。

「ご、ごめんなさい。お母様……だ、だって、ここ、たくさんの人がお母様のことを……」

 ロゼッテには、私たちには聞こえない声、別のなにかが聞こえているのだろう。
 耳を両手で塞いで、震えている。
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