あなたの子ですが、内緒で育てます
37 大臣たちの思惑 ※ザカリア
ルチアノたちを迎えに来たが、すでに王宮へ戻った後だった。
心配になり、セレーネに内緒で俺だけ離宮に来たのだが、床の上に倒れている兄上を発見した。
「兄上!?」
兄上が床に倒れていることに、侍従たちは気づいていたのか、淡々とした様子で俺に言った。
「陛下になにかあれば、連絡を寄越すよう大臣たちに言われておりましたので、もうじきいらっしゃいます」
「なぜ、大臣たちが? 呼ぶのは医者だろう!」
「ご自分で毒をお飲みになったらしく、もう手遅れかと」
「兄上はまだ息がある。医者を!」
侍従は渋っていたが、医者を呼びに行った。
俺たちを毒殺しようとした時と、同じ毒なら解毒剤がある。
緊急時に飲むため、持ち歩いていた解毒剤を兄上の口に注ぐ。
「ザカリア様、陛下を寝室へ運んでもよろしいでしょうか」
「ああ、頼む」
俺の護衛のために付いてきたジュストの部下たちだったが、まさか兄上の体を運ばせることになるとは、思ってもみなかった。
しばらくすると、侍従が言った通り、大臣たちがやってきた。
「ザカリア様。なぜ、離宮に?」
「王宮へお戻りください。昼食がまだでしょう」
心配になり、セレーネに内緒で俺だけ離宮に来たのだが、床の上に倒れている兄上を発見した。
「兄上!?」
兄上が床に倒れていることに、侍従たちは気づいていたのか、淡々とした様子で俺に言った。
「陛下になにかあれば、連絡を寄越すよう大臣たちに言われておりましたので、もうじきいらっしゃいます」
「なぜ、大臣たちが? 呼ぶのは医者だろう!」
「ご自分で毒をお飲みになったらしく、もう手遅れかと」
「兄上はまだ息がある。医者を!」
侍従は渋っていたが、医者を呼びに行った。
俺たちを毒殺しようとした時と、同じ毒なら解毒剤がある。
緊急時に飲むため、持ち歩いていた解毒剤を兄上の口に注ぐ。
「ザカリア様、陛下を寝室へ運んでもよろしいでしょうか」
「ああ、頼む」
俺の護衛のために付いてきたジュストの部下たちだったが、まさか兄上の体を運ばせることになるとは、思ってもみなかった。
しばらくすると、侍従が言った通り、大臣たちがやってきた。
「ザカリア様。なぜ、離宮に?」
「王宮へお戻りください。昼食がまだでしょう」