あなたの子ですが、内緒で育てます
38 この先も貴方とともに
『国王陛下が倒れた』
『危篤である』
『心臓発作らしい』
離宮で起きた異変の知らせが、王宮に届いたのは、昼過ぎのことだった。
ザカリア様はご存じらしく、驚くことなく、報告を聞いていた。
ルチアノやロゼッテには改めて伝えようと思っていたのに、ルチアノがやってきて私に言った。
「お母様。ぼく、聞かなくてもわかるから、なにも言わなくていいよ。ロゼッテは驚くかもしれないから、そっと教えてあげて」
「ええ……」
力を使って、一部始終を覗いていたらしいルチアノは、いつもより大人びた顔をしていた。
ザカリア様がルチアノに声をかけた。
「見ていたのか」
「……ザカリア様が王宮にいなかったから、探したんだ。怒る?」
「いや。心配かけて悪かった」
ザカリア様がルチアノの頭をグシャグシャとなでた。
強張った表情をしていたルチアノが、やっと子供らしい顔で笑った。
「セレーネ。少し話がしたい」
「私も聞きたいことがあります」
「そうだろうな。ジュスト、ルチアノを頼む」
「えっー! ぼくも一緒にお話したい!」
隙あらば、大人の仲間入りをしようとするルチアノ。
『危篤である』
『心臓発作らしい』
離宮で起きた異変の知らせが、王宮に届いたのは、昼過ぎのことだった。
ザカリア様はご存じらしく、驚くことなく、報告を聞いていた。
ルチアノやロゼッテには改めて伝えようと思っていたのに、ルチアノがやってきて私に言った。
「お母様。ぼく、聞かなくてもわかるから、なにも言わなくていいよ。ロゼッテは驚くかもしれないから、そっと教えてあげて」
「ええ……」
力を使って、一部始終を覗いていたらしいルチアノは、いつもより大人びた顔をしていた。
ザカリア様がルチアノに声をかけた。
「見ていたのか」
「……ザカリア様が王宮にいなかったから、探したんだ。怒る?」
「いや。心配かけて悪かった」
ザカリア様がルチアノの頭をグシャグシャとなでた。
強張った表情をしていたルチアノが、やっと子供らしい顔で笑った。
「セレーネ。少し話がしたい」
「私も聞きたいことがあります」
「そうだろうな。ジュスト、ルチアノを頼む」
「えっー! ぼくも一緒にお話したい!」
隙あらば、大人の仲間入りをしようとするルチアノ。