あなたの子ですが、内緒で育てます

39 ずっと待っていた

 私とザカリア様が結婚することを告げた。
 結婚を一番喜んだのは、ルチアノだった。

「ぼくねぇ、弟と妹が欲しい!」

 侍女たちと兵士たちは笑い、ジュストは慌てるザカリア様を見て、苦笑した。

「ザカリア様をお父様って、呼んでもいいってことだよね?」
「ああ」
「じゃ、じゃあ、お、お父様……」

 ルチアノは恥ずかしそうにザカリア様を『お父様』と呼んだ。

「ぼくね、ザカリア様のこと、ずっとお父様って呼びたかった」
「待たせて悪かった」
「ううん。ジュストから聞いてたからだいじょうぶ!」
「ジュストから?」

 じろりとザカリア様は、ジュストを睨んだ。

「いずれ、ザカリア様がお父様になってくださいますよと、言っただけですよ」
「お前は油断も隙もないな。なにを吹き込んでいるんだ」
「その通りになったじゃないですか」

 ジュストは周りから固める作戦だったのだろうか。
 けれど、ザカリア様の幸せを祈ってのことだったのは確かだ。 
 それをザカリア様もわかっているから、怒らなかった。

「ルチアノ様のお妃候補も選ばねばなりませんな!」
「即位式にあわせて、同じ年頃の令嬢を招待しましょう」
 
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