あなたの子ですが、内緒で育てます

2 本当にあなたの子ですか? ~七年前~

「本当にあなたの子ですか?」

 私の夫である国王陛下のルドヴィク様から、突然、子供ができたと告げられた。
 それも、妻である私ではなく、浮気相手の女性の間に……

 ――結婚して一年。

 夫婦仲も悪くなかった。
 私は王妃として、しっかり務めを果たしてきた。
 厳しい教育に耐え、大勢いる妃候補の中から選ばれ、王妃となった侯爵令嬢の私。
 実家の両親も親戚も喜んでくれた。

 それなのに――

「そうだ。俺の子だ」

 ルドヴィク様は恥じるどころか、堂々と告げた。

「わたくしのお腹には、王の血を引く子がいますの。その証拠に、お腹の子は心が読める能力を持っていますわ」

 浮気相手の貴族令嬢、デルフィーナ。
 私と妃の座を争っていた。
 諦めたと思っていたけれど、そうではなかったのだ。
 結婚後も、妻の座を狙い、奪うチャンスを待っていた――

「ルドヴィク様。今、セレーネが、『どうして私ではなく、デルフィーナを選んだの?』と考えていらっしゃいますわ」

 お腹の子が、私の心を読んだらしい。
 王の子だけが持つ不思議な力。
 つまり、彼女のお腹の中にいるのは、王の子。
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