あなたの子ですが、内緒で育てます

14 大臣たちの要求 ※ザカリア

「大臣たちは、ザカリア様の即位をお望みです」

 ――何を今さら。

 そう思ったのは、俺だけではなかった。
 俺の隣に立つジュスト、側近たち――いつになく厳しい顔をした。
 乳母の子だったジュストは、俺が王宮でどんな目にあったのか、すべて知っている。

「断る」

 大臣たちから、必ず説得しろと言われてきたのだろう。
 使者の顔が強張った。

「俺には、この領地を守る責任がある。王宮から追い出され、母を亡くした俺を守ってくれたのは、この地に住む者たちだ」
「王都の現状をご存じのはず。どうか、王宮にお戻りください……」
「兄上を国王に望んだのは、大臣たちではなかったか? 俺の特異な力を嫌った連中が、兄上に近寄れないよう部屋に、閉じ込められたことを忘れろと?」

 怒りをこらえ、椅子の肘置きを握りしめた。
 あの時、せめて大臣たちの誰かが――権力を持つ誰かが、母と俺を守ってくれたなら、母は死なずに済んだ。 

「お怒りは承知の上で、お願いに参りました」
「わかって言っているのか。これは謀反だぞ」

 領地を守るため、今すぐ使者を殺し、王へ忠誠を示すべきだとわかっていた。
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