あなたの子ですが、内緒で育てます

16 目障りよ! ※デルフィーナ

 ――これは謀反よ。

 わたくしは、大臣たちの動きを監視していた。
 途中で使者を殺すより、ザカリア様の城に入るのを見届けてから、ルドヴィク様に報告するほうがいいと判断した。
 案の定、使者はザカリア様の城へ入った。

「ザカリア様をルドヴィク様やロゼッテの代わりに、王位につけようと、大臣たちが謀反をたくらんでいますわ」

 わたくしの報告に、ルドヴィク様が不快な顔をした。
 国王陛下に不満があるから、謀反が起きる。
 つまり、ルドヴィク様のせいだというのに、怖い顔で睨み付けた。
 まるで、わたくしのせいだというように!

「そんなもの起きるわけがない」

 ルドヴィク様は、自分の統治能力に自信を持っている。
 けれど、評判がよかったのは過去のこと。
 今のルドヴィク様は、まったく民から支持されていない――ロゼッテもそう。
 だから、今のうちに邪魔なザカリア様を片付けておかねばならない。
 
「大臣がザカリア様に使者を送った理由が気になりますわ」

 それとなく、不信感を煽ってみる。
 けれど――

「ご機嫌伺いだろう」

 のんきなルドヴィク様の言葉に、我慢できなくなり、声を張り上げてしまった。
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