あなたの子ですが、内緒で育てます

17 謀反の罪?

 ――あと少しで王都に入るはずだった。

「謀反の疑いがございます!」
「ザカリア王弟殿下! 抵抗せず、王宮までご同行願います!」

 デルフィーナから命じられた兵士によって、周囲を囲まれてしまった。
 待ち伏せしていたらしく、弓兵までいる。

「こっちは、王宮に向かっているところなんだが。ジュスト、そう伝えろ」

 ザカリア様はジュストに伝えた。
 王宮にいたジュストは知り合いも多い。
 兵士たちの中には、ジュストと親しくしている者もいて、話を聞いてくれるようだった。

「だから、ぼく、言ったのに。兵士がたくさん、こっちに向かってるよって」

 兵士たちの待ち伏せが見えていたルチアノは頬を膨らませた。
 なぜ、道を変えなかったのか、と言いたいのだろう。

「ルチアノは王になるんだろう? それなら、堂々とした態度で王宮に入らねばならない」
「堂々と……?」

 堂々とした王の振る舞い――それはまだ、ルチアノは身に付けていない。

「王様が泥棒のように、こそこそして歩くか?」
「歩かないと思う」
「だったら、真正面から入るのが正しい」

 身分を隠して、王都に入ることは難しいことではなかった。
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