あなたの子ですが、内緒で育てます

18 元夫との再会

 ――七年ぶりに戻った王都。

 兵士たちに護衛され、王宮へ戻る道で見たのは、燃やされた建物や破壊された建物だった。

「あれは……?」
「セレーネが、残したものすべてを壊すようデルフィーナ王妃が命じたらしい」

 ザカリア様は潜ませている自分の手の者から、聞いたのだろう。
 険しい顔つきで、荒れた町並みを眺めていた。

「デルフィーナは、本当に私を憎んでいるのですね。ルチアノを守らなくては……」
「お母様、ザカリア様。心配しないで平気だよ。ぼく、ちゃんとわかってるから!」
「えっ……!」
「お父様が誰なのか、お母様が教えてくれたよね? だから、王都や王宮を見てたんだ」
「そんなことをしていたの!?」

 ルチアノはいたずらっ子のように笑った。

「お父様が、どんな方か気になったから。ザカリア様みたいな方かと思ってたのに……」

 力を使って、なにを見たのか、ルチアノはがっかりしていた。
 ルチアノの声が馬車の外にまで聞こえたらしく、護衛していたジュストが笑った。

「ルチアノ様。育ての父はザカリア様ですよ。ルドヴィク様を知っていますが、ルチアノ様は似てません」
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