婚約破棄されたので辺境で新生活を満喫します。なぜか、元婚約者(王太子殿下)が追いかけてきたのですが?
6.
* * *
王都に戻ったセドリックがまず向かった場所は、ジュリアンを匿っている屋敷だ。
「おい、ジュリアン。今、戻ったぞ」
「お待ちしておりました、セドリック様」
エントランスで彼を出迎えたのは、セドリックと同じ顔をし、同じ髪型、同じような体格の男である。彼は、セドリックの影武者を務めるアーノルド・ノーラン。代々騎士を輩出しているノーラン伯爵家の次男で、セドリックよりも年は二つ上だが、同じ瞳の色、似たような体格によりセドリックは彼を側近として望み、ときに影武者として務められるよう命じていた。瞳の色だけは魔石で変えることはできないが、髪色や髪型は魔石によってセドリックに似せている。
「アーノルド、おまえにも苦労をかけたな」
そう声をかけてねぎらうと「あぁ……そうですね……」と、どこか白目になって答える。セドリック同じ姿でそんな表情をされるのは心外だが、これは何か嫌なことがあったと、それを物語っている。
「何かあったのか? アーノルド……」
「それが……」
王都に戻ったセドリックがまず向かった場所は、ジュリアンを匿っている屋敷だ。
「おい、ジュリアン。今、戻ったぞ」
「お待ちしておりました、セドリック様」
エントランスで彼を出迎えたのは、セドリックと同じ顔をし、同じ髪型、同じような体格の男である。彼は、セドリックの影武者を務めるアーノルド・ノーラン。代々騎士を輩出しているノーラン伯爵家の次男で、セドリックよりも年は二つ上だが、同じ瞳の色、似たような体格によりセドリックは彼を側近として望み、ときに影武者として務められるよう命じていた。瞳の色だけは魔石で変えることはできないが、髪色や髪型は魔石によってセドリックに似せている。
「アーノルド、おまえにも苦労をかけたな」
そう声をかけてねぎらうと「あぁ……そうですね……」と、どこか白目になって答える。セドリック同じ姿でそんな表情をされるのは心外だが、これは何か嫌なことがあったと、それを物語っている。
「何かあったのか? アーノルド……」
「それが……」