婚約破棄されたので辺境で新生活を満喫します。なぜか、元婚約者(王太子殿下)が追いかけてきたのですが?
3.
「てことは、当分、あの男もこないわね。私たちが呼ぶまでは」
アビーがにやりと笑う。
「もう、アビーさん。私、ヒヤヒヤして心臓が止まるかと思いました」
「ごめん、ごめん。あの人たち、私たちにはあまり強く出られないだろうなと思ったから。ちょっといろいろわがままを言って、試してみた。案の定ね」
アビーは得意げに胸を張る。彼女の読みでは、エステルとアビーは今、男たちにとって必要な存在である。だから、多少のわがままなら聞き入れざるを得ないだろう、ということらしい。
「だからってやりすぎても駄目なんだろうけど」
エステルから見たら、アビーはやりすぎにしか思えない。
「さて、と。こちらも誠意を見せますかね? わがままも聞いてもらったことだし」
アビーはそう言って、作業台の上の資料を手にした。彼女の目が資料を滑るように動く。だが、次第にその表情が曇っていく。
「アビーさん?」
アビーがにやりと笑う。
「もう、アビーさん。私、ヒヤヒヤして心臓が止まるかと思いました」
「ごめん、ごめん。あの人たち、私たちにはあまり強く出られないだろうなと思ったから。ちょっといろいろわがままを言って、試してみた。案の定ね」
アビーは得意げに胸を張る。彼女の読みでは、エステルとアビーは今、男たちにとって必要な存在である。だから、多少のわがままなら聞き入れざるを得ないだろう、ということらしい。
「だからってやりすぎても駄目なんだろうけど」
エステルから見たら、アビーはやりすぎにしか思えない。
「さて、と。こちらも誠意を見せますかね? わがままも聞いてもらったことだし」
アビーはそう言って、作業台の上の資料を手にした。彼女の目が資料を滑るように動く。だが、次第にその表情が曇っていく。
「アビーさん?」