婚約破棄されたので辺境で新生活を満喫します。なぜか、元婚約者(王太子殿下)が追いかけてきたのですが?
エピローグ
 ガランガランと幸せを告げる大聖堂の鐘が鳴り響く。
 セドリックが二十歳の誕生日を迎え、エステルとの再婚約期間が一年を過ぎたとき、二人は盛大に結婚式を挙げた。
 王太子セドリックと、国家魔導技師ヘインズ侯爵の娘エステルの結婚式となれば、国中が喜びの声に包まれる。
 大司教の前で愛を誓い合った二人を一目見ようと、沿道にはたくさんの人々が集まった。偽装馬車に乗った二人は、幸せのおすそ分けだといわんばかりに、輝くような笑顔で手を振り続けた。
 華やかなパレードを終えた後は、王城の大広間で披露パーティーが行われる。
 披露パーティーでは挨拶とダンスを終えれば二人は退場してよいとされている。それは、結婚後初めての二人きりの夜を過ごすためだ。
 会場には、ヴァサル国の王太子ジュリアンの姿もあった。ドレス姿のジュリーではなく、凛々しい軍服に身を包んだ彼がそこにいるが、残念ながら隣に女性の姿はなく、まだ結婚の予定はないようだ。
 ギデオンもアドコック領から駆けつけてくれた。王都にいる間は、ヘインズ侯爵邸に滞在しているという。
「セドリック王太子殿下、エステル王太子妃殿下、このたびはおめでとうございます」
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