婚約破棄されたので辺境で新生活を満喫します。なぜか、元婚約者(王太子殿下)が追いかけてきたのですが?
第二章:こたつを作ります!
1.
五日間、馬車に揺られたエステルは、アドコック領に着いたときにはふらふらだった。
国境にあるこの城は、大きくは城塞、内城、外城と三つの区域に分かれている。内城には城塞で働く者たちが家族と住み、外城にはそれ以外の領民が住んでいる。内城と外城は城壁によって隔てられているが、自由に行き来できる。外城も市壁によってぐるりと周辺を囲まれていた。また、城の外にはいくつか集落が点在しているらしい。
この城の作りが敵の侵入を防ぐためだとわかってはいるが、王都と異なる雰囲気にエステルは別世界に迷い込んだ感覚に襲われた。
馬車は城門をくぐり、城塞の正面で停車した。
外側から扉が開かれ、護衛の騎士のエスコートで馬車から降りたエステルだが、身体のバランスを崩して倒れ込みそうになってしまった。
「お嬢様、大丈夫ですか?」
「えぇ、大丈夫……へっくしゅっ」
さらに、肌寒くてくしゃみが出てしまう。
「お嬢様、こちらを」
ハンナがすかさず上着をかけてくれた。
国境にあるこの城は、大きくは城塞、内城、外城と三つの区域に分かれている。内城には城塞で働く者たちが家族と住み、外城にはそれ以外の領民が住んでいる。内城と外城は城壁によって隔てられているが、自由に行き来できる。外城も市壁によってぐるりと周辺を囲まれていた。また、城の外にはいくつか集落が点在しているらしい。
この城の作りが敵の侵入を防ぐためだとわかってはいるが、王都と異なる雰囲気にエステルは別世界に迷い込んだ感覚に襲われた。
馬車は城門をくぐり、城塞の正面で停車した。
外側から扉が開かれ、護衛の騎士のエスコートで馬車から降りたエステルだが、身体のバランスを崩して倒れ込みそうになってしまった。
「お嬢様、大丈夫ですか?」
「えぇ、大丈夫……へっくしゅっ」
さらに、肌寒くてくしゃみが出てしまう。
「お嬢様、こちらを」
ハンナがすかさず上着をかけてくれた。