婚約破棄されたので辺境で新生活を満喫します。なぜか、元婚約者(王太子殿下)が追いかけてきたのですが?
4.
* * *
ギデオンは長い前髪をかきあげた。
古い知人、モートン・ヘインズから娘を療養させてほしいと依頼されたときは、何もこんな辺境の地にと思ったものだ。ましてこれから、寒さ厳しい冬がやってくる。
その理由を尋ねたところ、長年の婚約が解消され、心に傷を負っているとのこと。その傷心を癒すために、王都から離れ、静かな場所で過ごさせたいという。さらに、アドコック辺境領には、アビーという一風変わった魔導職人がおり、彼女を娘に紹介してほしいとのことだった。
モートンに負い目のあるギデオンは、その依頼を渋々と引き受けた。
だが、彼の娘をひと目見たときには、彼女が生き返ったのかと、思わず息を呑んだほど。
考えてみればモートンの娘なのだから、彼女とは血縁関係にある。となれば、似ていてもおかしくはないのだが、昔の熱い想いと後悔が蘇り、彼女にできなかったことをしてあげたいという気持ちがふつふつと湧き起こっていた。
だがその気持ちは恋心など、やましいものではない。どちらかといえば贖罪だ。彼女を突き放し、守り切れなかった自分への戒め。
ギデオンは長い前髪をかきあげた。
古い知人、モートン・ヘインズから娘を療養させてほしいと依頼されたときは、何もこんな辺境の地にと思ったものだ。ましてこれから、寒さ厳しい冬がやってくる。
その理由を尋ねたところ、長年の婚約が解消され、心に傷を負っているとのこと。その傷心を癒すために、王都から離れ、静かな場所で過ごさせたいという。さらに、アドコック辺境領には、アビーという一風変わった魔導職人がおり、彼女を娘に紹介してほしいとのことだった。
モートンに負い目のあるギデオンは、その依頼を渋々と引き受けた。
だが、彼の娘をひと目見たときには、彼女が生き返ったのかと、思わず息を呑んだほど。
考えてみればモートンの娘なのだから、彼女とは血縁関係にある。となれば、似ていてもおかしくはないのだが、昔の熱い想いと後悔が蘇り、彼女にできなかったことをしてあげたいという気持ちがふつふつと湧き起こっていた。
だがその気持ちは恋心など、やましいものではない。どちらかといえば贖罪だ。彼女を突き放し、守り切れなかった自分への戒め。