婚約破棄されたので辺境で新生活を満喫します。なぜか、元婚約者(王太子殿下)が追いかけてきたのですが?

4.

* * *

 花の蕾もほころび、春の訪れを感じる頃、エレガス学園高等部では卒業式が行われた。在校生代表として生徒会長を務めるセドリックが、卒業祝いの言葉を述べた。
「おめでとうございます」
「おめでとうございます!」
 卒業生に祝いの言葉をかけるものの、セドリックの心はぽっかりと穴が空いたまま。
「セディ。今日はめでたい日よ?」
 ジュリー姿のジュリアンが声をかければ、セドリックはむすっとした表情をする。
(誰のせいだと思ってるんだ!)
 そう言いたいところを、卒業生たちを見送るため、ぐっと堪えて笑顔を作り直す。
 卒業式が終わった後、セドリックはジュリアンをジュリーとしてかくまっている屋敷へと足を向けた。
「おまえのせいだからな!」
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