側溝の天使
第47話 流れる景色の中で
朝一番、久永さんへポン子が見つかった報告をし、朝食を済ませました。その頃には、多くの車が出入りするようになっておりました。ポン子にいつもの食事を与えて出発です。しっかりアクセルを踏み、再び車を走らせました。昨日のポン子の脱走事件以来、私の心に変化が芽生えていました。別れるつらさが脳裏から離れないのです。ポン子に帰巣本能があるのかどうかは分かりません。ただ「ポンちゃーん」と呼んだ時、明らかにこちらへ駆け寄ってくるスピードが速くなったのです。流れる景色の中で、大切なものを失いそうな気がいたしました。おそらく長時間のドライブによる疲れも重なり、啓子との会話も極端に少なくなりました。同じ気持ちなのでございましょう。
目的地のすぐそばまで近づきました。磐田サービスエリアを降り、待ち合わせのスーパーの駐車場で久永さんと対面を果たしました。これまでフェイスブックや携帯で連絡を取り合ってはおりましたが、お会いするのは初めてです。動物への揺るぎない愛情を感じさせる、優しい顔をしておられました。
「ようこそお越し下さいました。ポンちゃん見つかって本当に良かったですね。さぞお疲れでしょう。少し自宅でゆっくりして下さい。その後で、元ちゃんがいる里山へご案内しますので」
「ありがたいです。どうかよろしくお願いします」
「このところ元ちゃんは、顔を見せたり見せなかったり。折角沢井さんご夫妻とポンちゃんが来て下さっているので、今日会えると良いですわね」
そのまま久永さんの後について行きました。玄関先でご主人を紹介して頂きました。ご主人も柔和な顔をしておられました。さぞ元ちゃんも、お二人の愛情でのびのびと育ったことと思われます。ご主人は、元ちゃんを自然へ返す前、庭やケージの中にいた時の様子を詳しく話してくださいました。当面は、このケージでポン子も馴れるまでお世話をお願いすることになっております。
-続-
目的地のすぐそばまで近づきました。磐田サービスエリアを降り、待ち合わせのスーパーの駐車場で久永さんと対面を果たしました。これまでフェイスブックや携帯で連絡を取り合ってはおりましたが、お会いするのは初めてです。動物への揺るぎない愛情を感じさせる、優しい顔をしておられました。
「ようこそお越し下さいました。ポンちゃん見つかって本当に良かったですね。さぞお疲れでしょう。少し自宅でゆっくりして下さい。その後で、元ちゃんがいる里山へご案内しますので」
「ありがたいです。どうかよろしくお願いします」
「このところ元ちゃんは、顔を見せたり見せなかったり。折角沢井さんご夫妻とポンちゃんが来て下さっているので、今日会えると良いですわね」
そのまま久永さんの後について行きました。玄関先でご主人を紹介して頂きました。ご主人も柔和な顔をしておられました。さぞ元ちゃんも、お二人の愛情でのびのびと育ったことと思われます。ご主人は、元ちゃんを自然へ返す前、庭やケージの中にいた時の様子を詳しく話してくださいました。当面は、このケージでポン子も馴れるまでお世話をお願いすることになっております。
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