Excessive love.
Episode9
交際してからしばらく経っても、姫野さんと直樹さんは相変わらずだった。

姫野さんから相談を多く持ちかけている様子。これについて私が何かを突っ込むことは無かったけれど、直樹さんが事前に言って来てくれた。


『今は詳細は話せないけれど、仕事の話しかしていないし、仕事以外の時間で相談を受けたりするつもりはないから。』


直樹さんなりに誠実でいるためだったのか、私を不安にさせないようにそう話してくれていた。とはいえ、何の話か気になるのも事実だ。

定期的に直樹さんを呼び出して裏で何かを話している。そして大体15分から30分後2人でオフィスに戻ってきては、直樹さんは疲れた様子で溜息を吐きながらデスクに着くのがお決まりの流れだった。

姫野さんに関しては演技なのか、素なのかは分からないけど、暗い表情で戻ってきて、本性を知らない男性陣に心配されている。

2人の事も気になっていたけれど、後ろでこそこそと陰口をたたく女性社員にもかなりまいっていた。会社で面倒な話は避けてほしいのに、よほど姫野さんが気に入らないのか、その周りにしか聞こえない程度だけど話し込んでいる。


「やだわ、また私病んでますアピール?上司の事も使って?」
「男性の気を集める為なら本当手段選ばないんだね。あれに騙される男もバカみたい。」
「ていうか、お前に病む権利なんかないだろって思うわ。姫野さんに彼氏取られて落ち込んだ女性社員何人も居て、まだあの態度で行くつもり。」


ここで私が庇う理由も無いし、庇って変な騒ぎを起こしたくないから席を立ちあがる。そのままホワイトボードに«外回り»と記入して、デスクに戻ってきて外に出る準備をする。
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