Excessive love.
Episode10
その日から3日、4日は平和な日々を過ごした。

土日を挟んだのもあって、あれからも相変わらず私は直樹さんと姫野さんの関係に触れなかった。

そのまま月曜日出社して、午前の内に外回りを済ませた後だった。優花とのランチを済ませて営業課のオフィスがあるフロアで用を足して、ついでにそこの鏡で軽く化粧を直していた時の事だ。

個室に誰かいるなと言うのは分かっていた。ここの会社の個室は未使用の際扉が開かれているからだ。

誰がここのお手洗いを使っていようと別に不思議では無いし、特に気にするようなものでは無かった。中から出てきたのが、彼女でなければ。


「先輩、お疲れ様です!」

「お疲れ様。」


別に挨拶くらい誰にでもする。嫌いでも無視をするなんて子供みたいなことはしない。

…しないけれど、姫野さんと2人きりの空間は随分居心地が悪い。早く出てしまおうとリップを綺麗に塗りなおしてメイク用ポーチに入れて、出て行こうとした。


「…そう言えば、先輩りゅうくんから画像について話されたんですよね?」

「画像って?」


そう白々しく聞き返したけど、当然思い当たる節はある。姫野さんと直樹さんが抱き合っている写真の事を差しているのだと思う。

この時点で、確信犯だなと思った。隆太が私の所に話をするようにしたのも、直樹さんと抱き合っているという写真を撮ったのも。
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