Excessive love.
Episode3
その日午後から宣言通り外回りに出て、定時を少し過ぎて帰ってきた時に問題が起きた。


「新田さん、ちょっといい?」


帰ってくるなりすぐに及川くんに呼び出されて首を傾げる。及川くんの表情は何だか険しくて少し怒っている様に見えた。


「どうしたの?仕事の話?」

「プライベートな話だから、5分くらい外で時間貰える?」


そう言われて人気の無い廊下まで呼び出されて、そこで及川くんと向かい合う。普段軽いノリや人懐っこい感じで話しかけてくる彼が、こんな風に話しかけてくるのは初めてだった。

その表情は変わらず硬くていい話ではない気がした。


「まず、新田さんが悪くないと言うのは、大前提分かってるから気を悪くしないでほしいんだけど、それでももう優花を巻き込む様な事になるのはやめて。」

「…どういうこと?」

「さっき加藤にも呼び出して言ったけど、加藤が優花に今新田さんがどうしてるのって話をしたらしくて、それに怒った優花が加藤と揉めてた。
これに関して新田さんが悪いとは思っていないけど、だけどもうきちんと加藤と話してさっさと蹴りをつけてくんない?」


優花と隆太が揉めてたなんて今初めて聞いた話だ。そもそも隆太がまだ私を気にして優花に探りを入れていたのも。


「俺の予想でしかないけど、姫野さんと加藤、もう上手くいってないと思うよ。」

「どうしてそう思うの?」

「優花と新田さんが一緒に帰ってきて我が家に泊まった日、わざわざ事を荒立てたくないから優花には言わないでほしいんだけど、俺が呼び出されたの姫野さんだったし、仕事を理由に計画的に呼び出されたから。」


違和感を感じていた理由が姫野さんだったと今更知る事になるなんて思ってなかった。でもどこかで変だと思っていたし、彼女ならやりそうだし驚きはしなかった。
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