義弟の甘い罠は壊れるほど狂おしく【長編版】

7・ダブルデート

 最近の律が、ちょっとおかしい。

「はい、姉さん。あーーん」

 にこにこと屈託のない笑顔を浮かべた律が、私の部屋のベッド脇に腰を下ろし、お粥のスプーンを差し出してくる。その光景を私は瞬き一つで受け止めきれず、ぽかんと口を開けたまま固まってしまった。
 
「あ、あーーん……?」
 
 思わずそのまま口を開けると、律はうれしそうにスプーンを滑り込ませる。
 パクッと一口食べると、律の笑顔がぱっとさらに輝いた。
 
「姉さん、おいしい?」
「そ、そうね。おいしいわよ」

 なにこれ。なにが起きているの?

 確かに今日は、ちょっと体調がよくなかった。
 仕事から帰ってきたあと、季節の変わり目のせいか頭痛がして、夕飯まで横になっていようとベッドに潜り込んだ。うとうとして時間が経ってしまったらしく、気がついたら律が部屋に来ていて、お粥まで作ってきてくれていたのだ。
 
 そして、気づけばこの状況である。理解が追いつかない。
 
 律は、私が実家に戻ってきたことがよほど嬉しいみたいだ。
 それに、彰人さんがいなくなって律も寂しいのかもしれない。
 そう思うと、素直な好意を無下にすることができなかった。
 
 けれど、やっぱりおかしい気がする。
 ここ最近、明らかに私のスケジュールを把握しすぎていて、仕事終わりの帰宅時間にはLINEが飛んでくるし、休日に予定を入れてると「どこ行くの? 誰と?」って聞いてくるし。

 過保護なんてレベルじゃない気がする。
 どうにかして、姉離れしてもらわないと……!

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