義弟の甘い罠は壊れるほど狂おしく【長編版】

3・指輪のついたお守り

「……なんてね」
「えっ?」
 
 律がふっと口元を緩め、私から一歩離れた。
 さっきまでの迫力が嘘のように、軽い調子で笑う。
 
「俺は姉さんが戻ってきてくれて嬉しいよ。またよろしくね」
「あ……うん……」
 
 緊張していた肩の力が抜ける。
 冗談……だったの……?
 私は拍子抜けして、うまく笑い返すこともできなかった。

「そうだ、ひとつだけ」

 律は自分の部屋へ入ろうとすると、ぴたりと止まってこちらを振り向く。

「俺の部屋には入らないでね。配信の機材とかあって、触られたくないから」

 にっこりと笑う顔は、さっきよりずっと柔らかいはずなのに。
 その言葉だけは、冗談に聞こえなかった。

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