甘く苦く君を思う
両親との対峙
実家に着くと両親の前に立った。
急に訪れた俺にどこかふたりにも緊張感が伝わったのか一瞬の沈黙があった。
「……3年前、沙夜会ったのはなぜ?」
穏やかに、でも揺るぎない声にふたりは動揺を見せるが、母は視線を外さず静かに話出した。
「昴のためよ」
「俺のため?」
俺の胸に苦いものが込み上げる。
「俺を守るために沙夜を傷つけたのか。そのせいで彼女は夢も職場も失った」
その言葉に母は表情を変えずに言葉を返す。
「彼女は優しい人だわ。だからこそ昴と一緒になれば苦しむのはわかっている。それに彼女に高倉家は重すぎる。高倉に嫁ぐということはそういうことよ。昴だってわかっていたから彼女にあなたの正体を明かさなかったんでしょう」
冷静なその言葉に怒気はなく、ただ逃げ場を与えない重さがあった。俺は拳を握りしめ、そして目を逸らさずにいった。
「ふたりの気持ちはわかる。でも、これは俺の問題だ。沙夜を傷つけていいはずがないだろ。どうしてわからないんだ。放っておいてくれ」
「お前には守るべき社員がいる。社員の家族がいるんだぞ。一時の感情に左右されるな」
父が厳しく叱責する。
「わかってる。でも自分が幸せじゃないのに社員とそのの家族だけを守らせるのか」
その言葉に両親は口をつぐむ。
「俺は彼女を大切にしたい。彼女を守りたいからもう逃げたくない」
急に訪れた俺にどこかふたりにも緊張感が伝わったのか一瞬の沈黙があった。
「……3年前、沙夜会ったのはなぜ?」
穏やかに、でも揺るぎない声にふたりは動揺を見せるが、母は視線を外さず静かに話出した。
「昴のためよ」
「俺のため?」
俺の胸に苦いものが込み上げる。
「俺を守るために沙夜を傷つけたのか。そのせいで彼女は夢も職場も失った」
その言葉に母は表情を変えずに言葉を返す。
「彼女は優しい人だわ。だからこそ昴と一緒になれば苦しむのはわかっている。それに彼女に高倉家は重すぎる。高倉に嫁ぐということはそういうことよ。昴だってわかっていたから彼女にあなたの正体を明かさなかったんでしょう」
冷静なその言葉に怒気はなく、ただ逃げ場を与えない重さがあった。俺は拳を握りしめ、そして目を逸らさずにいった。
「ふたりの気持ちはわかる。でも、これは俺の問題だ。沙夜を傷つけていいはずがないだろ。どうしてわからないんだ。放っておいてくれ」
「お前には守るべき社員がいる。社員の家族がいるんだぞ。一時の感情に左右されるな」
父が厳しく叱責する。
「わかってる。でも自分が幸せじゃないのに社員とそのの家族だけを守らせるのか」
その言葉に両親は口をつぐむ。
「俺は彼女を大切にしたい。彼女を守りたいからもう逃げたくない」