英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~

第3話 異世界に転生したわたしは人妻でした(1)

(あれっ……? わたし、どうしたんだっけ……)

 霧が晴れるように、視界がクリアになっていく。

 まだ頭がぼうっとしている。どこかの部屋に立っているようだが、まさかこの状態で気を失っていたのだろうか。

「いいだろう。そこまで言うなら……離婚に応じよう」

 そんな衝撃的なワードが耳に飛び込んできて、ハッと我に返った。

(え? 今、なんて? ……というか、わたしはなにを……)

 まず認識したのは、そこが広々としたとてつもなく豪華な部屋だということ。壁紙や照明などのインテリアはおしゃれで高級感があり、正面にはどっしりとしたマホガニー材の執務机が置かれている。

 机の上に見えるのは羽根ペンだろうか。家具から小物に至るまで、すべてがアンティーク調で統一され、まるで中世ヨーロッパの貴族のお屋敷に紛れ込んだかのようだ。

(わぁ、すごい。なんだかファンタジー映画のセットみたいね!)
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