英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
第21話 変化の兆し(3)【ルシウスside】
(アレクシア……。顔色が悪かったが、体調は大丈夫なんだろうか……)
妻との話を終え、執務席に戻ってはみたものの、すぐに仕事に取りかかる気にはなれなかった。
肘をついて考え込んでいると、隣の資料室で仕事を手伝わせていたロキとヒルダがひょっこりと顔を見せる。
館の中では人間の姿で過ごし、主人である俺の命令を律儀に待ち望んでいる彼らには、ついつい細々とした用事まで言いつけてしまい――その結果、いまや雑用のプロとなっていた。
賢いこのふたりは、正直なところ並の人材よりもはるかに役に立つ。
本当にいい拾い物をしたなどと言ったら、両名の正体を知らない彼女は、俺をどう見るだろうか。
「よろしかったのですか? 離縁の話は、撤回もできたでしょうに」
机の上に成果物を積み上げたヒルダが、珍しくなにかを危ぶむ調子で問いかけてきた。気になって目を向ければ、いつもと変わらぬポーカーフェイスがそこにある。
妻との話を終え、執務席に戻ってはみたものの、すぐに仕事に取りかかる気にはなれなかった。
肘をついて考え込んでいると、隣の資料室で仕事を手伝わせていたロキとヒルダがひょっこりと顔を見せる。
館の中では人間の姿で過ごし、主人である俺の命令を律儀に待ち望んでいる彼らには、ついつい細々とした用事まで言いつけてしまい――その結果、いまや雑用のプロとなっていた。
賢いこのふたりは、正直なところ並の人材よりもはるかに役に立つ。
本当にいい拾い物をしたなどと言ったら、両名の正体を知らない彼女は、俺をどう見るだろうか。
「よろしかったのですか? 離縁の話は、撤回もできたでしょうに」
机の上に成果物を積み上げたヒルダが、珍しくなにかを危ぶむ調子で問いかけてきた。気になって目を向ければ、いつもと変わらぬポーカーフェイスがそこにある。