英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
第23話 変化の兆し(5)
あんなにまじまじとルシウス様を見て、なにを囁いているのだろうか。
いよいよ気になって彼らの元に向かおうとしたそのとき、目を疑う光景が飛び込んできた。ルシウス様の肩に手をかけたイレーヌ姫がつま先立ちになり、彼の顔に自分の面を近づけたのだ。
(えっ……今、キス……した?)
重なったふたりの影から目が離せない。頭を殴られたような感覚がして、足元がふらついた。あの場所からここまで声が届くわけもないのに、耳の奥に姫の笑い声が響いて鳴り止まない。
以後の記憶は飛んでいて、気づけば自分の部屋に戻り、ベッドの中で縮こまっていた。
自分の目で見たことが信じられず、混乱が渦巻いている。不安ばかりが大きくなって、彼を奪われる恐怖感に押しつぶされてしまいそうだ。
いよいよ気になって彼らの元に向かおうとしたそのとき、目を疑う光景が飛び込んできた。ルシウス様の肩に手をかけたイレーヌ姫がつま先立ちになり、彼の顔に自分の面を近づけたのだ。
(えっ……今、キス……した?)
重なったふたりの影から目が離せない。頭を殴られたような感覚がして、足元がふらついた。あの場所からここまで声が届くわけもないのに、耳の奥に姫の笑い声が響いて鳴り止まない。
以後の記憶は飛んでいて、気づけば自分の部屋に戻り、ベッドの中で縮こまっていた。
自分の目で見たことが信じられず、混乱が渦巻いている。不安ばかりが大きくなって、彼を奪われる恐怖感に押しつぶされてしまいそうだ。