英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
第25話 あなたの妻でいるために(2)
「突然、街に行きたいって、いったいどうしたんだ?」
「お願いだから連れていってほしいの。大事なことなのよ」
風雲急を告げる事態とはまさにこのことだ。
ぼんやりしてはいられないと応接室を飛び出したわたしは、ロキ君に泣きついて馬車を手配してもらい、急遽、丘の麓にある街へ向かっていた。
一緒に馬車に乗り込んだロキ君に事情を話すと、「またおまえの尻ぬぐいか」と呆れた顔を見せる。わたしはひたすら恐縮するしかなかった。
アレクシアが換金してしまったという指輪は、義母が親から受け継いで、また次世代に残そうとしたもので、石はないが金細工そのものに価値がある貴重なものだったらしい。
そんな大切なものを処分した行為そのものが許せないし、取り戻さなければルシウス様にも義母にも顔向けができない。
「お願いだから連れていってほしいの。大事なことなのよ」
風雲急を告げる事態とはまさにこのことだ。
ぼんやりしてはいられないと応接室を飛び出したわたしは、ロキ君に泣きついて馬車を手配してもらい、急遽、丘の麓にある街へ向かっていた。
一緒に馬車に乗り込んだロキ君に事情を話すと、「またおまえの尻ぬぐいか」と呆れた顔を見せる。わたしはひたすら恐縮するしかなかった。
アレクシアが換金してしまったという指輪は、義母が親から受け継いで、また次世代に残そうとしたもので、石はないが金細工そのものに価値がある貴重なものだったらしい。
そんな大切なものを処分した行為そのものが許せないし、取り戻さなければルシウス様にも義母にも顔向けができない。