英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~

第4話 異世界に転生したわたしは人妻でした(2)

「それにしても、そっちのほうから離婚を提案してくるとはな……。俺は騎士ゆえに王命に逆らうことはできない。だが妻からの切なる希望とあれば、叶えてやらねばなるまい」

(え? それってどういうこと?)

 釘を刺すように、低まった声が耳元に寄せられる。

「英断の礼に、ひとつ助言をしよう。気まぐれな毒猫と噂されるおまえが、もし今夜のことを省みることがあるとすれば……これからは、自分の言動には責任を持つことだ」

 そんな忠告のあと、背中で扉が閉まる重々しい音を聞いた。
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