英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~

第31話 変わる景色(2)

 日の差し込むサロンに客を通し、お茶を飲みながらくつろいでもらうのは、かねてからの計画のとおり。
 ゆったりしたひとり用のソファにはそれぞれグレイス様とリアム殿下が座り、対面の長ソファにはルシウス様とわたしが並んで腰かけた。

 顔の強張っていたグレイス様も、懐かしい館内の風景に心を和まされたのか、少しだけ気をよくしたように見える。予定外の男性客がひとり増えることになったが、こちらの態勢に影響はない。

 飛び入りの青年――リアム殿下については、部屋に移動する間に、ヒルダさんが予備知識を入れてくれていた。
 彼の御名は、リアム・ジ・アルテナ。国名をラストネームに持つ、紛れもない王族のひとり。しかし身分の低い妾の子であることから、その扱いも下げたところに置かれているらしい。
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