英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
第33話 変わる景色(4)
「あの、もう遅いので……失礼いたしますね」
会話が通じていないふりをして、殿下の右側を通り抜けようと進んだ。
すると、大きな体が同じ方向に動いて、進路を塞がれてしまう。それならば左にと、彼の脇をすり抜けようとしたら、すっと腕が突き出され、通せんぼをされた。
そのまま誘導されるように足を運ばされ、ついに壁際に追い詰められてしまう。おまけに頭の両サイドに手をつかれ、完全に囲われている体勢だ。
「どういうおつもりですか……?」
「君を口説いているんだよ。そっちにとっても悪い話じゃないはずだ」
細く眇めたブラウンの瞳は、柔らかいようで強引な光をたたえている。
会話が通じていないふりをして、殿下の右側を通り抜けようと進んだ。
すると、大きな体が同じ方向に動いて、進路を塞がれてしまう。それならば左にと、彼の脇をすり抜けようとしたら、すっと腕が突き出され、通せんぼをされた。
そのまま誘導されるように足を運ばされ、ついに壁際に追い詰められてしまう。おまけに頭の両サイドに手をつかれ、完全に囲われている体勢だ。
「どういうおつもりですか……?」
「君を口説いているんだよ。そっちにとっても悪い話じゃないはずだ」
細く眇めたブラウンの瞳は、柔らかいようで強引な光をたたえている。