英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
第36話 幸運の反作用(2)
――一カ月後。わたしとルシウス様を乗せた馬車は、建国記念日に間に合うよう前もって館を出発し、一路アルテナ王国の首都アルティミリアを目指した。
契約獣のふたりもついてくると言うので、賑やかな旅路を期待したのだが、当初からその姿は見えない。彼らは馬車には乗らずに、魔獣の姿に戻って走ったほうが楽しいというから驚きだ。もちろん人の目につかないよう、妖術という便利な技でもって身を隠しているというのだが。
車窓から外を覗きながら、対面の椅子に座っているルシウス様に問いかけた。
「あの……ロキ君とヒルダさんは、ちゃんと馬車についてきているのですか?」
「いや。どこかに遊びに行ってしまったようだ。式典が終わるころには戻るだろう」
ルシウス様いわく、遊びたい盛りの彼らが外出にはしゃぐのはいつものことで、言いつけておいた周辺警戒の任務を放り出し、自由行動に出たらしい。それでも魔獣の棲息地から離れた王国の内地は比較的安全であり、彼らがいなくとも問題はないと。
契約獣のふたりもついてくると言うので、賑やかな旅路を期待したのだが、当初からその姿は見えない。彼らは馬車には乗らずに、魔獣の姿に戻って走ったほうが楽しいというから驚きだ。もちろん人の目につかないよう、妖術という便利な技でもって身を隠しているというのだが。
車窓から外を覗きながら、対面の椅子に座っているルシウス様に問いかけた。
「あの……ロキ君とヒルダさんは、ちゃんと馬車についてきているのですか?」
「いや。どこかに遊びに行ってしまったようだ。式典が終わるころには戻るだろう」
ルシウス様いわく、遊びたい盛りの彼らが外出にはしゃぐのはいつものことで、言いつけておいた周辺警戒の任務を放り出し、自由行動に出たらしい。それでも魔獣の棲息地から離れた王国の内地は比較的安全であり、彼らがいなくとも問題はないと。