英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
第37話 幸運の反作用(3)
ひとりになったわたしは、ひとまず座り心地のよさそうなソファに腰かけて、時間を潰すことにする。
しばらくゆったりと過ごしていると、急に外が騒がしくなった。なにやら廊下で男性が声を荒らげているようだ。
「わしは父親だぞ。娘に会うのに許可が必要なものか!」
不用意に顔を出すべきではないが、父親という言葉には反応せずにはいられない。
そっと扉を開けて覗いてみると、警備兵に詰め寄っているのは、シルクハットを被った細面の中年貴族だ。白髪の交じった緋色の髪を撫でつけ、同色の口髭を生やしている。
男は目ざとくこちらに気づくと、声色を高くして話しかけてきた。
「おぉ、アレクシアよ! 父が会いに来たぞ。久しぶりだな、元気にしていたか?」
返事をするのも忘れ、相手の顔をじっと眺める。
しばらくゆったりと過ごしていると、急に外が騒がしくなった。なにやら廊下で男性が声を荒らげているようだ。
「わしは父親だぞ。娘に会うのに許可が必要なものか!」
不用意に顔を出すべきではないが、父親という言葉には反応せずにはいられない。
そっと扉を開けて覗いてみると、警備兵に詰め寄っているのは、シルクハットを被った細面の中年貴族だ。白髪の交じった緋色の髪を撫でつけ、同色の口髭を生やしている。
男は目ざとくこちらに気づくと、声色を高くして話しかけてきた。
「おぉ、アレクシアよ! 父が会いに来たぞ。久しぶりだな、元気にしていたか?」
返事をするのも忘れ、相手の顔をじっと眺める。