英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
第39話 幸運の反作用(5)
そのタイミングで、前面から退いていた王太子が大仰な振りをもって使者に加勢してきた。
「姫は慣れぬ後宮暮らしで体を壊し、弱っていたのだ。よって私は国に帰りたいという姫の願いを聞き入れた。だというのに護衛を任せた騎士の元で足止めを受け、その妻から嫌がらせを受けていたとは……」
その姫を後宮から不要と締め出した張本人のくせに、どの口が言うのか。ルシウス様は、妨害により任務が長引く中、最後まで筋を通そうとしていたというのに……。
気を強く取り戻したわたしは、意を決して口を開いた。
「イレーヌ姫とわたしは、たしかにぶつかることもありましたが、おっしゃるようなことは誓ってしておりません。一方的な言いがかりは……」
すると今度は、使者のほうが目を剥いて咬みついてくる。
「この期に及んで言い逃れをするとは、なんと卑怯な! 皆さま、姫が受けた被害について、もっと具体的な話もございます! 姫の持ち物であるルビーのついた宝飾品……父公爵から贈られ大切にしていたそれを、その者に無理やり奪われたというのです!」
「姫は慣れぬ後宮暮らしで体を壊し、弱っていたのだ。よって私は国に帰りたいという姫の願いを聞き入れた。だというのに護衛を任せた騎士の元で足止めを受け、その妻から嫌がらせを受けていたとは……」
その姫を後宮から不要と締め出した張本人のくせに、どの口が言うのか。ルシウス様は、妨害により任務が長引く中、最後まで筋を通そうとしていたというのに……。
気を強く取り戻したわたしは、意を決して口を開いた。
「イレーヌ姫とわたしは、たしかにぶつかることもありましたが、おっしゃるようなことは誓ってしておりません。一方的な言いがかりは……」
すると今度は、使者のほうが目を剥いて咬みついてくる。
「この期に及んで言い逃れをするとは、なんと卑怯な! 皆さま、姫が受けた被害について、もっと具体的な話もございます! 姫の持ち物であるルビーのついた宝飾品……父公爵から贈られ大切にしていたそれを、その者に無理やり奪われたというのです!」