英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
第41話 愛する人のために(2)
思いもしない関心を向けられて、ぶわりと鳥肌が立つ。とっさに身を引こうとしたが、いち早く王太子の腕が伸びてきて、手首を掴まれた。
「や、やめてください!」
考えるよりも先に、強く腕を振り払っていた。
払われた手を宙に浮かせた王太子は呆気にとられたあと、見る間に顔を赤くし、椅子を蹴るようにして立ち上がった。
「この私の誘いを拒絶するとは、無礼な女め……!」
「お、お待ちください! 娘は感情表現がうまくないところがありまして、要は清めてもいない身で高貴なお方に触れられることを恥じらっているのです。なにせ殿下は王国の太陽。雲の上の存在でございますから、本来であれば近づくことも恐れ多く……」
そう言って王太子とわたしの間に割り込んできたのは、父だ。目を見張るわたしの前で、身ぶり手ぶりを交えながら、王太子の気を静めようと躍起になっている。
「や、やめてください!」
考えるよりも先に、強く腕を振り払っていた。
払われた手を宙に浮かせた王太子は呆気にとられたあと、見る間に顔を赤くし、椅子を蹴るようにして立ち上がった。
「この私の誘いを拒絶するとは、無礼な女め……!」
「お、お待ちください! 娘は感情表現がうまくないところがありまして、要は清めてもいない身で高貴なお方に触れられることを恥じらっているのです。なにせ殿下は王国の太陽。雲の上の存在でございますから、本来であれば近づくことも恐れ多く……」
そう言って王太子とわたしの間に割り込んできたのは、父だ。目を見張るわたしの前で、身ぶり手ぶりを交えながら、王太子の気を静めようと躍起になっている。