英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~

第42話 愛する人のために(3)【ルシウスside】

(アレクシア……俺がついていながら、すまない)

 妻を目の前で連れていかれて、無力なまま退くことになるとは思わなかった。

 煌びやかなはずの城の廊下は、彼女とともに歩いたときとは別世界のように沈んで見える。箱入りのまま渡されることになった勲章も、なんの価値も感じられない。

 宴の中止が発表され強制的に散会させられたあと、王をはじめとする上層部は宮殿の奥へと引っ込んだ。そして明日の結果を見届けるためにとどまった公国の使者については、王太子があからさまに匿っていて接触する隙がない。

 やむなく王宮秘書官に詰め寄り、王への拝謁とアレクシアの放免を願い出たが、聞き入れられなかった。
 これ以上騒ぐと議会への参加資格を取り上げると警告されては引き下がるほかない。ならばせめてアレクシアの近くにいられればと城中泊を願い出て、許可されはしたものの到底気は休まらなかった。
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