英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
第47話 わたしの新しい人生(2)
「くだらぬことを……」
額に青筋を立てたルシウス様が睨みつけると、書類を運んだ男は震え上がって自分の席へと舞い戻る。
「落ち着きなさい、ルシウス。……アレクシアさん、いいかしら」
正面奥の席のグレイス様が声を上げ、わたしと目を合わせた。
「アーサー王子の取り調べが進む中で、協力者としてあなたの父親、ブラッドリー侯爵の名前が出ているそうよ。今も逃亡しているということは後ろ暗いことがあるんでしょう」
「はい、そのとおりです。そして父が悪事に関わっているとなれば、わたしにも累が及ぶ。レオパルド家の顔に泥を塗る前に縁を切るべきだと、皆様はそうお考えなのですよね」
すると机を囲む人々が騒ぎはじめ、室内が喧しくなる。