英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~

第9話 レオパルド邸の秘密(1)

「待って、猫ちゃん!?」

 がばっと起き上がると、金色の瞳と目が合った。昨夜わたしを案内してくれた、黒髪エキゾチックな美少年だ。
 窓際でレースのカーテンを引こうとしていた手を止めて、彼は言った。

「な、なんだよ。驚いたじゃないか」
「あっ……ごめんなさい……」

 寝ぼけて叫んでしまった気恥ずかしさを照れ笑いで誤魔化して、きょろきょろと辺りを見回した。

 三回寝返りを打ってもまだ余りある、キングサイズの豪華なベッド。たっぷりとしたスペースに高級家具が点在する、キラキラとした女性用の部屋。

(あぁ、転生は夢じゃなかったんだ……)
< 61 / 398 >

この作品をシェア

pagetop