英雄の妻に転生しましたが、離縁されるようです ~旦那様、悪妻の私を愛さないでください~
第2話 ハズレの女(2)
心の奥に棘が刺さったみたいに、じくじくと痛んでいる。けれど今は仕事中だと割り切って、傷つけてきた張本人と顔を合わせても、顔には出さずやるべきことをこなした。
(わたしって、ハズレなんだ……)
何度も反芻し、それもそうかと自ら納得できてしまうところが悲しい。
職業も安定せず、これといった取り柄もない。病気の父を抱え、借金まである。これまで自分自身の生活――恋とか、おしゃれとか、結婚とか――そんなことを考えている余裕などなかった。気づいたら、今のわたしができあがっていたのだ。
どうしてか急に心細く、恐ろしくなってきた。まるで薄氷の上に立っているみたいに足元がおぼつかない。
終業時刻きっかりに「失礼します」のひと言を絞り出し、足早に会社を出た。
空には灰色の雲がかかり、今にも天気が崩れそうだ。雨が降れば、アルバイトで配るチラシが湿ってしまう。どちらにせよ今日は集中できそうもないし、このまま帰ることにして、とぼとぼと家路についた。
(わたしって、ハズレなんだ……)
何度も反芻し、それもそうかと自ら納得できてしまうところが悲しい。
職業も安定せず、これといった取り柄もない。病気の父を抱え、借金まである。これまで自分自身の生活――恋とか、おしゃれとか、結婚とか――そんなことを考えている余裕などなかった。気づいたら、今のわたしができあがっていたのだ。
どうしてか急に心細く、恐ろしくなってきた。まるで薄氷の上に立っているみたいに足元がおぼつかない。
終業時刻きっかりに「失礼します」のひと言を絞り出し、足早に会社を出た。
空には灰色の雲がかかり、今にも天気が崩れそうだ。雨が降れば、アルバイトで配るチラシが湿ってしまう。どちらにせよ今日は集中できそうもないし、このまま帰ることにして、とぼとぼと家路についた。