クールな上司の〝かわいい〟秘密 ――恋が苦手なふたりは互いの気持ちに気づけない

エピローグ ありのままの私で、幸せに

 秋冬ものの服が、本格的に必要になる季節。
 私は今日も、いつものようにショッピングモールへと出勤していた。

「おはようございます、店長」

 そう声をかけてきたのは、真霜だ。
 いつもの朝の風景。だが、変わったことがいくつかある。

「おはよう、不動店長」

 そう言って出勤してきたのは、かつての同期の田辺さんだ。彼女は子供が保育園へ入学した昨年、仕事復帰した。その後、ずっと現場への復帰を希望していたらしい。

「おはよう、今日もよろしくお願いします」

 私はこの店舗の副店長であるふたりに、そう声をかけた。真霜がメンズ・ウィメンズ担当、田辺さんがキッズ・ベビー担当だ。

 ふたりを副店長として起用することになったのには、ある理由がある。

「店長は今日はこのあと、東京本部ですよね。オープン後はばっちり私たちが引き継ぐので、本部でのお仕事、頑張ってきてください」

 真霜がそう言って、自身の胸をぽんと叩いた。

 そう、私はこれから東京本部へと赴く。そんな私の肩書は、プレブロ店長兼、営業本部売場企画課。
 私は今、店長をしながら週三回ほど本部に赴き、営業本部でも働いているのだ。

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