捨てられ仮面令嬢の純真
民のために
✻
レオは、王宮前広場にザッと足を進めた。もちろんセレスも隣にいる。
門を守る騎士団員たちが静かに道をあけた。夫婦の半歩ななめ後ろにつけたマティアスとともに、民衆の前に出る。ラヴォー兄弟、そして仮面の夫人の姿に民衆がどよめいた。
「みんな――」
仲間に対するようなレオの呼びかけ。誰もが固唾をのむ。
「どうやら大変な苦労をかけているようだ。俺はさっきビルウェンとの国境から戻ってきた。このたび街のあちこちが封鎖されたことに無力だったのを詫びよう」
軽いざわめきが起きたが、人々はおとなしく聞いていた。
セレスもおっとりと微笑み、民衆にうなずいてみせる。顔見知りの者が手を振るのには、小さく手を挙げて返したりした。
和やかな滑り出しの演説だが実は、しゃべっているレオ自身「何をやらされているのか」と困惑気味だった。
なんとなれば、言うべきことを後ろからマティアスにささやかれているのだ。その指示をそれらしく翻訳し朗々と述べるのがレオの役目。
「(敵は撃退したから安心、と大げさに)」
「マルロワの地を奪わんとした連中は、すみやかに去らせた! 国境の砦は堅牢で、なんの憂いもない!」
人々から拍手と歓声が起こるのをレオは戸惑いつつ聞いた。だってレオはただの騎士団員なのに。なんだか盛り上がってきたが、いいのだろうか。
「(これからはレオが民と王都を守る、と)」
「しぱらく留守にしていたが、俺も王都へ戻れた。またみんなのために働くことができて嬉しい。富める者、貧しい者、すべての民が幸せであれるよう力を尽くすつもりだ!」
オオーッとどよめきが広場を揺らす。
事前にマティアスからは「上の立場から語りかける感じで」と注文されていた。レオの父は筆頭公爵で、演説も幼い頃から見慣れている。そんな雰囲気でやってみたら聴衆がノリノリになってきて、レオは軽くビビった。だがマティアスは容赦ない。
レオは、王宮前広場にザッと足を進めた。もちろんセレスも隣にいる。
門を守る騎士団員たちが静かに道をあけた。夫婦の半歩ななめ後ろにつけたマティアスとともに、民衆の前に出る。ラヴォー兄弟、そして仮面の夫人の姿に民衆がどよめいた。
「みんな――」
仲間に対するようなレオの呼びかけ。誰もが固唾をのむ。
「どうやら大変な苦労をかけているようだ。俺はさっきビルウェンとの国境から戻ってきた。このたび街のあちこちが封鎖されたことに無力だったのを詫びよう」
軽いざわめきが起きたが、人々はおとなしく聞いていた。
セレスもおっとりと微笑み、民衆にうなずいてみせる。顔見知りの者が手を振るのには、小さく手を挙げて返したりした。
和やかな滑り出しの演説だが実は、しゃべっているレオ自身「何をやらされているのか」と困惑気味だった。
なんとなれば、言うべきことを後ろからマティアスにささやかれているのだ。その指示をそれらしく翻訳し朗々と述べるのがレオの役目。
「(敵は撃退したから安心、と大げさに)」
「マルロワの地を奪わんとした連中は、すみやかに去らせた! 国境の砦は堅牢で、なんの憂いもない!」
人々から拍手と歓声が起こるのをレオは戸惑いつつ聞いた。だってレオはただの騎士団員なのに。なんだか盛り上がってきたが、いいのだろうか。
「(これからはレオが民と王都を守る、と)」
「しぱらく留守にしていたが、俺も王都へ戻れた。またみんなのために働くことができて嬉しい。富める者、貧しい者、すべての民が幸せであれるよう力を尽くすつもりだ!」
オオーッとどよめきが広場を揺らす。
事前にマティアスからは「上の立場から語りかける感じで」と注文されていた。レオの父は筆頭公爵で、演説も幼い頃から見慣れている。そんな雰囲気でやってみたら聴衆がノリノリになってきて、レオは軽くビビった。だがマティアスは容赦ない。