ここまでコケにされたのだから、そろそろ反撃しても許されますわよね?
第47話 今あるわたくしは
適当にエドガーをあしらうと、アンドレアはノートを箱に戻した。
「とにかくエドガー、このノートを一度ケラー侯爵家に送ってもらえない? エリーゼにシュナイダー家へ届けるよう頼んであるから」
「エリーゼに? 別にシュミット家から送ったって……そういう訳にはいかないか」
「そうよ、アンドレアはもう死んでしまったんだもの。ケラー家のわたくしの部屋で、遺品のノートを見つけたということにするのが一番スマートでしょう?」
「そうかもしれないが、今さらシュナイダー家に送ってどうするんだ?」
「シュナイダー家はこれから復興が必要よ。少しでも新しく爵位を継いだ伯父様の助けになればと思って。このノートがあれば、あとは家令が上手いことやってくれるわ」
ポールによって解雇された家令は、再びシュナイダー家に呼び戻されたらしい。
彼は優秀な男なので、きっとシュナイダー家を再興に導いてくれるだろう。
「ケラー家に送るのは構わないが、その前に俺もひと通り目を通させてもらっていいか?」
「それはいいけれど……」
もう一度ノートを取り出して、エドガーが熱心にページをめくりだした。
しばらくその姿を黙って眺めていたアンドレアは、何やらいいことを思いついたように瞳を輝かせた。
「ね、エドガー。この子がもう少し大きくなって手が離れたら、わたくしにもシュミット家の領地経営に関わらせてくれない? そうすればシュミット家専用に、またノートを書き溜めるから」
「いや、これまでアンドレアは苦労ばかりして来たじゃないか。そんなことは俺に任せて、好きなことだけして暮らしていいんだぞ?」
「その好きなことが領地経営だと言ってるの。シュナイダー家でも裏方業務だけではなくて、表に出て取引相手と直接交渉してみたかったくらいよ」
唇を尖らせて、アンドレアはエドガーからノートを取り上げた。
「とにかくエドガー、このノートを一度ケラー侯爵家に送ってもらえない? エリーゼにシュナイダー家へ届けるよう頼んであるから」
「エリーゼに? 別にシュミット家から送ったって……そういう訳にはいかないか」
「そうよ、アンドレアはもう死んでしまったんだもの。ケラー家のわたくしの部屋で、遺品のノートを見つけたということにするのが一番スマートでしょう?」
「そうかもしれないが、今さらシュナイダー家に送ってどうするんだ?」
「シュナイダー家はこれから復興が必要よ。少しでも新しく爵位を継いだ伯父様の助けになればと思って。このノートがあれば、あとは家令が上手いことやってくれるわ」
ポールによって解雇された家令は、再びシュナイダー家に呼び戻されたらしい。
彼は優秀な男なので、きっとシュナイダー家を再興に導いてくれるだろう。
「ケラー家に送るのは構わないが、その前に俺もひと通り目を通させてもらっていいか?」
「それはいいけれど……」
もう一度ノートを取り出して、エドガーが熱心にページをめくりだした。
しばらくその姿を黙って眺めていたアンドレアは、何やらいいことを思いついたように瞳を輝かせた。
「ね、エドガー。この子がもう少し大きくなって手が離れたら、わたくしにもシュミット家の領地経営に関わらせてくれない? そうすればシュミット家専用に、またノートを書き溜めるから」
「いや、これまでアンドレアは苦労ばかりして来たじゃないか。そんなことは俺に任せて、好きなことだけして暮らしていいんだぞ?」
「その好きなことが領地経営だと言ってるの。シュナイダー家でも裏方業務だけではなくて、表に出て取引相手と直接交渉してみたかったくらいよ」
唇を尖らせて、アンドレアはエドガーからノートを取り上げた。