ここまでコケにされたのだから、そろそろ反撃しても許されますわよね?
第14話 この不憫な弟に
我が子の世話を使用人に任せ、エリーゼは談話室へと戻った。
窓際のソファに座る弟エドガーが、難しい顔をして外を眺めている。
アンドレアを乗せた馬車が、ちょうど屋敷の門を出ていった。
馬車が見えなくなってしまったあとも、身じろぎもせずエドガーは窓の向こうをじっと見つめ続けていた。
「ゆっくりと話はできた?」
「ああ」
生返事をしたエドガーは心ここにあらずの状態だ。
(やっぱりエドガーはまだアンドレアのことを……)
姉の勘で、以前からそうなのではと感じていた。
だが今回の騒ぎを伝えようと、久しぶりにアンドレアの名を出したときのことだ。
エドガーのあまりの食い気味の反応に、エリーゼは正直驚いてしまった。
(婚約を破棄されたあとのエドガーは、長いこと抜け殻のようだったものね)
昔から掴みどころのない性格の弟だったが、破談して以来それに拍車がかかったように思う。
自暴自棄とまでは行かないが、何に対しても真剣みがないというか、自分のことなどどうなっても構わないというような、そんな態度が目立つようになった。
「ね、エドガー」
「なんだ?」
「アンドレアとキスくらいはした?」
そう聞いた途端、エドガーはゲホゲホと盛大に咳込んだ。
むせる胸に手を当てて涙目にまでなっている。
「い、いきなり何を聞いてくるんだ」
「あら、だって折角ふたりきりにしてあげたのよ? いくらでもチャンスはあったでしょう?」
「何馬鹿なことを。アンドレアはもう人妻だ」
むすっとして、エドガーは再び窓の外へと顔を向けた。
「何言ってるのよ。今がアンドレアを奪う絶好のチャンスじゃない」
窓際のソファに座る弟エドガーが、難しい顔をして外を眺めている。
アンドレアを乗せた馬車が、ちょうど屋敷の門を出ていった。
馬車が見えなくなってしまったあとも、身じろぎもせずエドガーは窓の向こうをじっと見つめ続けていた。
「ゆっくりと話はできた?」
「ああ」
生返事をしたエドガーは心ここにあらずの状態だ。
(やっぱりエドガーはまだアンドレアのことを……)
姉の勘で、以前からそうなのではと感じていた。
だが今回の騒ぎを伝えようと、久しぶりにアンドレアの名を出したときのことだ。
エドガーのあまりの食い気味の反応に、エリーゼは正直驚いてしまった。
(婚約を破棄されたあとのエドガーは、長いこと抜け殻のようだったものね)
昔から掴みどころのない性格の弟だったが、破談して以来それに拍車がかかったように思う。
自暴自棄とまでは行かないが、何に対しても真剣みがないというか、自分のことなどどうなっても構わないというような、そんな態度が目立つようになった。
「ね、エドガー」
「なんだ?」
「アンドレアとキスくらいはした?」
そう聞いた途端、エドガーはゲホゲホと盛大に咳込んだ。
むせる胸に手を当てて涙目にまでなっている。
「い、いきなり何を聞いてくるんだ」
「あら、だって折角ふたりきりにしてあげたのよ? いくらでもチャンスはあったでしょう?」
「何馬鹿なことを。アンドレアはもう人妻だ」
むすっとして、エドガーは再び窓の外へと顔を向けた。
「何言ってるのよ。今がアンドレアを奪う絶好のチャンスじゃない」