ここまでコケにされたのだから、そろそろ反撃しても許されますわよね?
第19話 もうあと戻りできない
すべて算段が整って、アンドレアはその日を迎えた。
今いるのはエリーゼの寝室だ。
表向きは彼女を見舞う名目でここにいる。
しかし今後の命運をかけた重大なことが、これからアンドレアを待ち構えていた。
「アンドレア、緊張しているの?」
「ええ……そうかもしれないわ」
「大丈夫よ。エドガーに任せれば全部うまくいくわ」
エリーゼの言葉にアンドレアはただ頷いた。
「じゃあ、そろそろ行ってくるわね」
「ええ、わたくしはここでずっと待っているから。安心して行ってきて」
おっとり微笑まれ、アンドレアは行きかけていた歩を止め振り向いた。
「ねぇ、エリーゼ。行く前に正直に答えて欲しいのだけれど……」
「なに?」
「エドガーの姉として、わたくしに言っておきたいことはない?」
「姉として?」
分からないといったように、エリーゼは小さく首をかしげてくる。
「エドガーをよろしく? とかかしら」
「そうではなくて」
アンドレアは口元に苦笑いを乗せた。
「わたくしはエドガーを裏切ってポールに嫁いだわ。それなのにまたこんな風に、エドガーを利用するなんて許されていいのかしら……」
最後の懸念を口にした。
この復讐劇はアンドレアひとりでは成し得ない。
エドガーの厚意に甘えた上でしか、実現は難しいのが現状だ。
「婚約破棄の件ならエドガーはとっくに納得済みよ。あの状況ではアンドレアもどうしようもなかったのでしょう?」
「けれど、最終的にポールに嫁ぐと決めたのはわたくしだもの」
「それは違うわ」
きっぱりと言ったエリーゼに、アンドレアは不思議顔を向けた。
ケラー家の利益のために、エドガーからポールに乗り換えたのはアンドレア自身だ。
「お義父様は最初からポール様がライラを望んでいることを知っていたのでしょう? いずれアンドレアが捨てられることも」
今いるのはエリーゼの寝室だ。
表向きは彼女を見舞う名目でここにいる。
しかし今後の命運をかけた重大なことが、これからアンドレアを待ち構えていた。
「アンドレア、緊張しているの?」
「ええ……そうかもしれないわ」
「大丈夫よ。エドガーに任せれば全部うまくいくわ」
エリーゼの言葉にアンドレアはただ頷いた。
「じゃあ、そろそろ行ってくるわね」
「ええ、わたくしはここでずっと待っているから。安心して行ってきて」
おっとり微笑まれ、アンドレアは行きかけていた歩を止め振り向いた。
「ねぇ、エリーゼ。行く前に正直に答えて欲しいのだけれど……」
「なに?」
「エドガーの姉として、わたくしに言っておきたいことはない?」
「姉として?」
分からないといったように、エリーゼは小さく首をかしげてくる。
「エドガーをよろしく? とかかしら」
「そうではなくて」
アンドレアは口元に苦笑いを乗せた。
「わたくしはエドガーを裏切ってポールに嫁いだわ。それなのにまたこんな風に、エドガーを利用するなんて許されていいのかしら……」
最後の懸念を口にした。
この復讐劇はアンドレアひとりでは成し得ない。
エドガーの厚意に甘えた上でしか、実現は難しいのが現状だ。
「婚約破棄の件ならエドガーはとっくに納得済みよ。あの状況ではアンドレアもどうしようもなかったのでしょう?」
「けれど、最終的にポールに嫁ぐと決めたのはわたくしだもの」
「それは違うわ」
きっぱりと言ったエリーゼに、アンドレアは不思議顔を向けた。
ケラー家の利益のために、エドガーからポールに乗り換えたのはアンドレア自身だ。
「お義父様は最初からポール様がライラを望んでいることを知っていたのでしょう? いずれアンドレアが捨てられることも」