ここまでコケにされたのだから、そろそろ反撃しても許されますわよね?

第26話 絶対に許さない

 シュナイダー公爵家に到着すると、ライラは裏門から屋敷へ入らされた。
 出迎えの者も碌におらず、見かけた使用人もやたらとよそよそしい。

(国王が騎士とか余計な者を寄越したっていうのは本当みたいね)

 自分がいない間にこのシュナイダー家で、アンドレアは好き放題やってくれたようだ。
 昔からライラは鼻持ちならないアンドレアが大嫌いだった。

(母親が王女だったか知らないけど)

 たったそれだけのことで、アンドレアはさんざライラのことを小馬鹿にあしらって来た。
 上から見てくるようなアンドレアの視線が、どうにもいけ好かなくて仕方がない。

(絶対にわたしの方が若くて可愛いのに)

 だからきっと、アンドレアはライラに嫉妬していじめてくるのだ。
 ふふんと笑って、ライラは気を取り直した。

(醜いオバサンの分際で、ポールの子を宿しただなんて厚かましいにもほどがあるわ)

 どうせ嘘に決まっている。
 父親のケラー侯爵も嘘に違いないと言っていた。
 自分がポールに愛されないものだから、アンドレアは苦し紛れに嘘をでっち上げたのだ。
 こんなこと、許されていいはずはない。

「今に見てなさいよ……」

 父親の指示通りに、ポールと会うまでは目立たないように屋敷内を歩いた。
 屈辱だが、これもアンドレアを見返す作戦だから仕方がない。
 途中、リネンが積み上げられたワゴンを押すメイドたちとすれ違った。
 柱の陰に隠れたライラに気づかなかったのか、メイドはやかましくおしゃべりを続けている。

「でもさ、よかったよね。奥様がご懐妊されて」
「そうよねぇ。旦那様も愛人を囲うなら、本妻と跡取りをこさえてからにして欲しいわよね」
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