執拗に愛されて、愛して
11 New year holiday season
「ただいま。」


 そう声を掛けて実家の玄関先に、重たい荷物を置く。置かれたのは自分の荷物だけではなく、今隣に居る人物も荷物を下ろしていた。


「おかえりー!雅くんもいらっしゃい!」

「ご無沙汰してます。お邪魔します。」


 そうにこやかに挨拶をしている雅に全く理解が追い付いていない。猫を被っている奴の顔を、顔を顰めて見ている。

 まずどうして雅とうちの実家に帰ってくることになったか、の説明から入ろうと思う。




𓂃𓈒𓂂𓏸




 きっかけはクリスマス前の電話だったと思う。年末年始は向こうに帰って雅と過ごそうかなんて考えていたが、その予定は母からの電話で崩された。

 電話の内容は雅と年末年始に顔を出せというもので、彼女の実家に顔を出したい人などいないと抵抗をしてみたが、雅はあっさりと承諾。


「え、いやいや、冗談でしょ…?」

『お前が声掛けてきたんだろうが。何でその反応だよ。』

「普通彼女の実家なんて行く!?断りなさいよ!」

『じゃあ、話に出してくんなよ。』


 そんな正論で言い返されて、何も言えなくなる。

 ここで母に上手く断る理由も見つからなかったので、仕方なく雅と共に実家に帰ってきたのが流れだ。
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