執拗に愛されて、愛して
12 Stay close
 あの年末年始を抜けて数か月後のGWだった。年末年始以来タイミングも合わず雅とは会えていなくて電話の回数も減った。

 それでようやくゴールデンウィークの長期休みで会えると思った。帰省ラッシュで交通機関の予約が取れなくなる前に、早めに新幹線の予約を取ったのだけど、台風にぶつかり新幹線も飛行機も全部運休になった。

 前回の遠距離の時もそういうことがあって、私達はとことん天気に嫌われている気がする。


「私達って本当、運が無いというか、会うなって言われてるのかしらね。」

『ここまで天気に見放されてるのうけるな。』

「ウケないわよ。」


 久々に会えると思っていたけどこればかりは諦めるしか無いのかもしれない。軽く溜息を吐くと、次会えるのはお盆かと考えて気が遠のいた。


『仕方ねぇよな。』

「…そうね。」


 雅の言葉にを聞いて私もそう言い聞かせるしかなく、ネットで確認していた運行状況のサイトを閉じた。春は天気も荒れるし、こんなことになっても仕方がない。


「またお盆ね。その時には私が帰ってきている可能性もあるけど。」

『あんま期待しすぎずに待ってるわ。』


 そんな会話だけをして電話を切る。

 その後、空き状況などどこかでないか確認はしてみたけど、そもそも帰省ラッシュだし、今日の天気のせいで同じことを考える人は大勢いて席など取れそうにない。

 重い溜息を部屋の中で放って、デスクチェアーにもたれかかってノートパソコンを閉じる。

 学生の時の様に今更騒いだりはしないけれど、会える回数がそんなに多くないからやりきれない気持ちにはなった。
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