執拗に愛されて、愛して
18 Carelessness
 今日は雅が休みで私が仕事の日だった。2連休だと言っていた1日目をゆっくり過ごしていたみたいだけど、私はこの2日は仕事だった。


「あ、そうだ。明日、会社の飲み会があって遅くなるから。」

「あ?そんな話前からしてたっけ。」

「してたわよ。あんたは適当に流してたけど。」


 その会話を雅は覚えていないらしく、軽く口を開けてあほ面で考えていたけど思い出せはしない様だった。元から人の話を聞かない雅の記憶力なんて期待もしていなかったけど、やはり今回も覚えているはずがなかった。


「あ、そ。何時に終わるん。迎えに行く。」

「やめて!」

「は?何で?」


 そんなんあんたが目立つ存在だからに決まっているでしょうが。

 雅を会社に主人ですと報告したことも無いし、したくないのだ。本当に悔しい事に顔が良くて、前回支社の前まで雅が迎えに来たときはちょっと騒ぎになっていたほど大変だった。

 本社ではさすがにそんな目に合いたくないし、冷やかされるのもごめんだ。職場は好きな事に集中していられる場所でありたい。雅がそれを邪魔をするとは思っていないし、必要であれば紹介はするけども、今は必要性を全く感じない。


「そ、そんな遅くならないうちに帰る。新婚だから~って言えば返してもらえるでしょう。」

「門限21時な。」

「門限とか面倒な事言わないでよ。本当。」


 今時の高校生より早い門限だろう。21時は。
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